3T社 | Haasのお客様成功談
一工程ずつ円滑な生産
Zilinaの小さな工業地帯にある 3T社の生産施設を目の前にすると、思わず"「企業文化」"という言葉が頭をよぎります。控えめな色調のすっきりとした外観の建物と手入れの行き届いた芝生から、職場環境の良さだけでなく仕事に対する真摯な姿勢が伝わってきます。製造現場に入ると、外で目にしたものがただの見せかけではなかったことを確信できます。つまり、長年の努力の末に目覚ましい成果を上げるには、細かい点に至るまでのすべてが重要なのです。
ビジネスの世界でLubomir Truchly氏とJozef Stofik氏による協力関係はあまり例がありません。株主資産の完全代替性が、会社を成功へと導く鍵の一つとなったことは間違いありません。ベアリングや自動車産業向け旋削部品の生産を行う3T社(Technology Turning Trading)が2002年に設立されてから、2人は共に事業に取り組んできました。ベアリング業界で上級管理職をはじめとする複数の役職を歴任した経験を経て、身に着けた生産や経営に関する知識を個人事業に活かすのは自然の成り行きです。当時、自動車業界だけでなくベアリング業界も西から東へと生産がシフトし始めていたため、スロバキアにとって 新たな可能性を切り開くチャンスでした。2人は賭けにでました。
"「自分たちの考えを実現できるかどうか、試してみることにしました」 もちろん、個人事業における決定はいつでも、事業者によって提供される商品やサービスの事業分野や市場ニーズを把握した上で行われます。最終的には、運や業界の知識があって初めて市場参入への扉が開きます。そこからさらに、顧客の個別のニーズを満たす製品を市場価格で期限通りに提供するという2つめのの不確定要素があります。製品の品質は取引成立の前提条件です。会社がISO/TS 16949に従ってあらゆるプロセス管理を行うのは当然です。3T社のマネージャー兼ディレクターのLubomir Truchly氏は、「こういった条件を満たしていなければ、コネは何の役にも立ちません」"と語ります。彼の言葉を、アウディ、メルセデス、フォード、フォルクスワーゲンなどの重要クライアントが証明しています。これらの企業は、3T社のクライアントが3T製のロータリーの半製品を販売しているエンド顧客です。
不思議な巡りあわせで、 3T社はTeximp社を代理店にして、米国メーカーHaas社のCNC旋盤SL-10HEをスロバキアで最初に購入しました。CNC旋盤SL-10HEは今でもベアリングの第4製造ラインにあり、#1と記されています。契約は2003年のクリスマスに交わされ、翌年から稼働を開始しました。徐々に機械の台数が増え、現在では7台のシングルスピンドルCNC旋盤で本格的に製造が行われています。現場にはHaas社製のCNC旋盤モデルシリーズSL-10、SL-20、ST-30があります。これらの機械のおかげで、同社は最大外径200mmの製品を生産することができます。
"「Haas CNC旋盤のコストパフォーマンスは本当に優れています。生産の拡大局面で、他メーカーの機械を選択することも検討しましたが、結局Haas社の機械を使用することになりました。現在、新たなプロジェクトの準備を進めていますが、このプロジェクトにおいてもHaas社製の機械を購入して生産拡大を図る予定です。操作面から言えば、簡単なだけでなく、正確性・信頼性ともに非常に優れています。これらの機械は、我々が機械加工に求める技術的・科学技術的要求を満たしています。当社が選定したHaas社製の機械の技術設備はターニング加工に必要な全てを網羅しているため、これらの機械の最適利用が実現されています。会社がまず把握しなければならないことは、機械に何を期待できるのか、どのような生産を行うのか、投資によるどんなリターンがあるのかを知ることです。多くの機能を搭載していたとしても人が使いこなせなければ、企業家的にも経済上の見地からも高価な機械を購入するメリットはないと私は考えます」"3T社のディレクターは語ります。
Lubomir Truchly氏は次のように会社の舞台裏を明かします。"「私たちのポートフォリオには魅力的な製造分野が含まれますが、2017年から2022年までの間は、得意先とのパートナーシップの中で私たちが製品見積りを行っている新しいプロジェクトに取り組むことの方がずっと重要です。新しいプロジェクトに参加することで、必然的に会社発展の余地が生まれます。クライアントからは、品質だけでなく納期の適時性についても、長年にわたって97点から100点という評価をいただいてきました。科学技術開発の分野で良好な取引関係や長期にわたる協力関係を理由に、独自の製品開発への協力依頼をしばしばいただきますが、こういったクライアントの決定を我々は尊重しています。こういった機会は、私たちの会社にとって名誉なことであると同時に、素晴らしい学びの場にもなるのです」"
逆説的に言えば、3T社はひとえに最大の競争相手であるクライアントからの需要に左右されている会社です。クライアントの多くは、依然として個々の部品製造の大部分を自社の設備で行う一方で、外部メーカーから小型部品を購入しており、3T社はそういったサプライヤーのうちの1社です。 クライアントを獲得するには、同じ部品を、求められた品質で、そのクライアントよりも安く生産する技術を開発しなければなりません。そのため、私たちは素材の提案や加工技術を最適化する必要があります。そうすることで、クライアントは"「本業」"に集中し、半製品の生産をサプライヤーに任せることができます。これらが実現すると、クライアントにその後の生産工程と最終製品を改善する余地が生まれています。"「当社は、独自のマーケティングやその顧客の要件に対応するなど、クライアントが他の業務に対応できるようにしています。製造の 特異的要素とは、数百ミリ単位の精度です。そのため、製造するすべてのものを測定できなければなりません。万一クレームがあった場合に、クライアントから提供された測定結果と比較するためです。幸いなことに、クレームを受けた製品はほとんどありませんがね」"と、Lubomir Truchly氏は話します。
3T社は、最初に米国市場、すなわちNTN社向けにロータリー部品の生産を開始しました。しかし、スロバキアコルナに対してドルが下落したため、取引を終了せざるを得なくなりました。その後、INA KysuceやTimken Czech Republic(現在のKoyo Czech Republic)との取引が始まりました。2004年、3T社は5カ年計画を初めて策定し、ベアリング向け半製品製造分野の将来的発展のビジョンを明らかにしました。計画には、製造と非製造を含むあらゆる分野における成長が示されています。
"「2008年の世界的な危機の後、私たちはクライアントの要求の変化に迅速に対応する必要がありました。ロット数が減少し、小口注文が急増しました。この時にも、Haas CNC機械の柔軟な生産能力のおかげでクライアントの新しい要望に対応することができたため、市場で生き残こることができたのです。新たな課題に対応するためHaas製のフィーダー付き旋盤を購入しました。これにより、パイプやロッドなどのロータリー部品の製造が可能になりました。その結果、ターニングの間に"「ブランク」"を作っていた工程を排除することになり、価格を競争的水準に維持することができました。難しい時代でした」" と3T社マネージャーは振り返ります。
危機的な時代を経て、引き続き2006年のビジョンに沿って会社を発展させてきました。"「2006年のビジョンは、お客様に最高のサービスを提供する物流・製造設備を持つ会社に発展させることでした。オフィススペースは製造現場に取って代わりました。産業用建築様式を持つ既存の建物の上層部に会社の会社の指導部を移しました。現在、製造面積が1,700m2、倉庫と社員の休憩室が500m2となっています。「色彩を考えた社交スペースや会社の周囲に配された芝生エリアは、従業員が働きたいと思える職場環境を整えることで従業員のモチベーションを高め、より良い仕事ができるようにするための取り組みのほんの一部です。」"続けてLubomir Truchly氏が話します。社員同様、彼もまた一般の労働者の視点で生産工程を見ています。実際、彼らはキャリアの中ですべての工程を経験してきました。また、人間の可能性を会社の中で最も価値ある資産であると考えています。しっかりとした教育を受け、ほどよいモチベーションを持つスタッフがいなければ、進歩はありえません。若い実習生に製造現場で直接経験を積ませるチャンスを与えているのもそのためです。9月からHaas CNC機械を使えるようになった実習生が、将来3T社の社員になるかもしれません。